2016年2月9日火曜日

「ハレ」のプライド、「ケ」のポジティブ・スペース

こんにちは、入澤です。
今日はLGBTの社会運動について書ことうと思います。LGBTの運動ではプライドパレードが世界中に広がり、特に有名ですね。今日はプライドではなく、カナダで広がっているポジティブ・スペースというキャンペーンについて紹介したいと思います。このキャンペーンはカナダの中でも僕がいるオンタリオ州で広がっており、トロント大学でも精力的に取り組まれています。

ポジティブ・スペースとはLGBTの人たちサービスの利用者として尊厳を持った対応を受けることができる場所であり、LGBTの人たちがサービスの提供者としていかなる差別を受けずに働くことができる暖かでインクルーシブな空間です。

ポジティブ・スペースを表明する場所には虹色の逆三角形のマークが掲げられます。
実際、大学内を歩いているとこのマークもしくはポジティブ・スペースという言葉をよく見かけます。道でも、寮の中でも、オンタリオ教育研究所の中でもです。


寮の近くの施設の入口
寮の壁
お世話になってる教授の研究室(だいぶシンボルに年季が入ってますね)


オンタリオ教育研究所の教授達は特に積極的に取り組んでいて、多くの教授達が研究室の扉にこのマークを掲げています。

このキャンペーンは単にこの虹色逆三角のシンボルを掲げればいいというわけではなく、自分たちの職場のLGBT理解の評価、振り返りを行い、必要なトレーニングを受けることまでを促すものです。推進団体もあります(http://www.positivespaces.ca/)。

トロント大学もこのキャンペーン用のホームページを作っています。http://positivespace.utoronto.ca/
他の大学も同様。
ブリティッシュ・コロンビア大学(http://positivespace.ubc.ca/
クイーンズ大学(http://www.queensu.ca/positivespace/

また、ポジティブ・スペースのキャンペーンはプライド・パレードとの連携もしています。昨年の6月25日はトロント大学の学長室も虹色になりました。



このキャンペーン、実は1990年代後半からやっているようで、今年で20周年。それを祝うイベントが偶然2月中にあるみたいなので、行ってみたいと思います。
https://www.eventbrite.ca/e/positive-space-20th-anniversary-brunch-tickets-21046755412

さて、ざっと紹介してみましたが、僕がこのキャンペーンを知って思ったのは、社会運動の「ハレ」の部分も大事だけど、こういう日常のコミュニケーションを改善していく「ケ」の部分も大事だなということ。

LGBTの運動だとプライド・パレードはまさに「ハレ」の部分ですよね。LGBTの人たちが街に繰り出し、派手なパフォーマンスを交えながら自らの権利を社会に訴えていく。一方、そこで訴えたものを日常=「ケ」に具体化していくのがポジティブ・スペースの運動なのかなと思いました。日常の中に少しずつLGBTの人たちが安心できる場所を増やしていく。こうすることでLGBTの人たちをエンパワメントし続けられますし、社会の認識も徐々に変わる。

社会運動の形態は色々ありますが、こういう日常に溶け込んだかたちの、ソーシャルワークとのあわいにある運動が提示するたたかい方は日本でも参考になると思いました。

では、今日はここまで。






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