こんにちは、入澤です。
トロントは気温が現在2度です。去年の今頃はー10度かそれ以下だったと思うので、かなり暖かく感じます。実際、去年は気温が氷点下から脱した時に春の訪れを感じていました。その時は雪もガンガン溶けていっていましたからね。
今日は「社会正義・経済正義・環境正義のための教育とアクティビズム(Educational Activism for Social, Economic and Environmental Justice)」という秋学期のコースの初回授業のお話。この授業は社会運動への教育学からのアプローチを考えるというもの。扱われるトピックは、社会運動体の組織論、社会運動体の学習論、社会運動の方法論、クリティカル・ペダゴジー、社会運動と学校教育の接続などなど。最後とか「どういうことやねん?」と思われる方ばかりだと思いますが、より公正な社会に向けた変化をどう学校の中に反映させていくかは不平等の再生産を乗り越えるために必要な考え方と受け取られています。
教授はテレジアさんという、教師を経てトロントの教育委員会で長年活動されていた方。実践者からの叩き上げの人です。トロントでは最も有名な活動家の一人だそうです。そして、授業に出ていたのは教師もしくは教師経験者が6割、NPOなどで働く活動家が4割といった感じ。後者の人の中にはGreenpeaceという世界最大規模の環境NPOで働く人もいましたし、LGBTQの若者支援に携わる人もいました。
僕はバックグラウンドが他の人とだいぶ違うのでいつも苦労するし苦手なのですが、初回授業は大抵クラス全員の自己紹介から始まります。今回は教授からさらに経済正義(Economic Justice)、社会正義(Social Justice)、環境正義(Environmental Justice)のどれに興味があってこの授業を受講しようと思ったのかについても話すようにリクエストがありました(Social Justiceについては社会的正義よりも社会正義と訳されることが多いみたいですね。Environmental JusticeとEconomic Justiceは「的」をつける訳もつけない訳もあるみたいです。僕のブログではややこしいので「的」を外すので統一します)。
皆それぞれ自己紹介をしていきましたが、クラスは経済正義、社会正義の両方に関心がある人と環境正義に関心がある人にだいたい分かれていました。それを受けて教授が言ったのが「経済正義、社会正義そして環境正義の3つ全てが互いに重なり合っているので、活動家なら一人ひとりがこの3つの視点から社会問題を考えられるようにならないといけない」ということ。そして教授は「特に、環境正義については社会正義や経済正義の問題に長年取り組む活動家やPhDを持っている人でさえ考えないことが多い。ぜひ他人事にせずこの機会に向き合ってもらいたい」と言っていました。
教授が言うには、途上国の開発計画がうまくいかない理由の一つは年々増加する異常気象の影響を考えていないから。環境を不変のものとする前提に立っている限りどこかで計画に破綻を来すのだそうです。
さて、上に簡単ですが図を書いてみました。
社会正義と経済正義の重なりは男女の給与差など考えるとわかりやすいですね。LGBTQの人に配慮した職場環境の無さが経済的な不平等を生んでいくということなどもここに入ります。経済正義と環境正義の重なりには労働者と公害のことや財政難から原発を誘致せざるをえない自治体、カナダだとファーストネーション(ネイティブカナディアン)の自治区での資源採掘の問題などが当てはまると思います。社会正義と環境正義ではエコフェミニズムが思い浮かびます。真ん中の部分には日本でNPOで働いていた時に出会った福島から避難されてきた母子家庭の親子が思い浮かびました。
言われると当たり前だと感じるし、図にするとより一層当然と思えますが、確かに環境は意識からすっぽりと抜け落ちがちかも。そもそも環境以外にも、「教育格差に関心があります」と言いながらセクシャリティやジェンダーについて何も考えない人とかもいますしね。大事なのは、3つの領域のつながりと重なりを意識しながら自分の立場を振り返ることだと思います。
ではでは、今日はここまで。
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